
ライター
小松田 久美

有限会社 山本かまぼこ店
代表取締役 山本さん
「高知うまいもん散歩」第61回は、高知県室戸市にある、山本かまぼこ店さんにうかがいました。こちらのお店昭和13年からずっと、77年に渡りかまぼこを作り続けているのだそう。今回は賞を何度も受賞している、他とは違うおいしさの秘密について教えていただきました。高知の「さわち料理」に必ず入っている、関東とはちょっと味の異なるかまぼこは、こんな風に作られていたのですね

これらのかまぼこは、高知県のご当地料理である「さわち料理」に必ず入っていますね。でも関東で食べる、小田原で買うようないわゆる「板についているかまぼこ」とは味も見た目も違うような……?

これらのかまぼこは高知に住む人にとって、さわち料理でおなじみになっているものです。特にこの、かまぼこ生地でゆで卵を包みこんだものは「大丸」と呼ばれて古くから愛されています。さわち料理にはまずこれがないと!と言う人も多いんですよ。小田原のほうのかまぼことは、食感や味も違うでしょう。こちらの方が、弾力のある歯ごたえがします。食べ比べてみるとおもしろいですよ。


大丸はゆで卵の断面が鮮やかな黄色で、まわりのピンクに映えてとてもキレイですね。山本かまぼこ店は、農林水産大臣賞を2度も受賞されているとか。

自分ではまだまだ発展途上の身だと思っていますが、2000年に受賞した先代に続いて、2007年に私が2度目の受賞を果たしました。自分自身が初めて山本かまぼこ店のかまぼこを食べた時に、「どうして他とこんなに味が違うのか!?」と感動したんです。その味を極めて守って、みなさんにお届けしていくのが私の仕事だと思っています。
匠のかまぼこ、ここに現る。

お店のHPで、かまぼこ作りの様子を見ました。何個作っても手さばきに乱れがなくて、職人技!という印象を持ちました。

HPに掲載されている動画は、先代がかまぼこ作りをしている様子です。手さばきに寸分の乱れなく、秤を使わなくてもグラム単位でぴっちり合わせて同じ重さに仕上げることができるんですよ。同じ材料を使っても、先代が作ったものは仕上がりの味が違います。そんな先代と比べてしまえば、13年目の私はまだまだ。かまぼこを作るための魚のすり身は生き物ですから、ほんの少しの水や気温の違いで、出来上がりに差が出てしまうんです。かまぼこは900年もの歴史があるとされていますので、よりいいものを作って、さらに後世に伝えていきたいです。


かまぼこには900年もの歴史があるのですね。こちらのかまぼこをいただくと、身がやわらかいうえにうまみが濃縮されていて、つい何個も食べてしまいますね。

先代の味を引き継いだうえで、さらにいろいろな工夫をして美味しさを引き出す努力をしています。例えば、日本の水のほとんどは軟水なのですが、何度も試作を重ねた結果、電気的に最適な水を作る事によって、かまぼこが一番美味しいことが判明しました。そこで、うちでは水を天然イオン化できる装置を工場に導入して使っています。そんな実験をしている時は昔かたぎの先代に、「遊んでいるのか!」と何度も怒られました(笑)。ありがたいことに、そうした味の追求も評価していただけたのか、今では高知だけでなく全国のかたからお買い求めいただいています。東京では銀座三越や、丸井さんの催事で扱ってもらっています。保存料も極力減らして、高知産の材料を使ってつくる土佐正統派のかまぼこを、ぜひ味わってみてください。

今回ご紹介した商品

室戸の頑固職人が贈る伝統の技。
「土佐のご当地かまぼこセット」
創業77年。かまぼこの中に土佐ジローのゆで卵がまるまる入った土佐ジロー玉子入り大丸や、農林水産大臣賞2度受賞のかまぼこトーフなど地元で人気のかまぼこをセットにしてお届けします。
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有限会社 山本かまぼこ店
〒781-7102 高知県室戸市室津2431番地1
TEL :0887-22-0011
FAX :0887-22-4825
創業昭和13年、室戸のいごっそう蒲鉾
マグロ漁船と歩んできたこだわりの天ぷら
素材にこだわり、手づくりにこだわり続け
地元や海の男から愛され続けてきた老舗かまぼこ店
是非、土佐は室戸の味をご賞味下さい。
ライター紹介

小松田 久美
1983年生まれ、東京在住。
今年、第一期の「うまいもん散歩」取材で四国に初上陸しました。徐々に高知が大好きになってきた、高知ビギナー。
着物と猫、お酒が好きなフリーライターです。